当社が扱う商品はもちろん、
業界全体での食の安心・安全に寄与。

食品は、製造から販売の各段階において安心・安全を守る取り組みが行われていますが、伊藤忠食品も流通を担う企業として商品の安全性向上に努めています。その中心的な役割を担っているのが品質保証部です。重要な取り組みの1つが、仕入先である食品メーカーの工場や当社の開発商品の製造を委託している工場の点検で、実際に製造ラインを見ることや、工場担当者へのヒアリングを通して、製造環境に問題はないかをチェックしています。問題を指摘するだけではなく、その工場で実現しやすいような改善策の提案を行うことで、訪問した工場側にとっても、安全や品質向上につながる機会として受け取っていただけるよう努めています。以前訪問した焼き菓子の工場では、先方の若手社員２人を点検に同行させてほしいと頼まれ、私たちがどこに注意しているのかをお伝えしながら製造ラインを一緒に回りました。とても参考になったと当人や社長に喜ばれると同時に、その前向きな姿勢を心強く感じました。
また、もう1つの重要な仕事が、商品パッケージの表示内容や商品カタログの表現が法令に準拠しているか、消費者に誤解を与えるものになっていないかを確認することです。食品表示の基礎知識は全社員が持つべきものなので、法令改正の情報収集および社内への発信、講習会の企画・実行なども担当しています。

入社3年目のとき、上司2人が営業部出身の方に代わり、営業部署の考え方や仕事の進め方を知ったことは自分にとって大きな変化でした。私は小中学生の頃から食事の栄養やお菓子作り等に興味があり、大学は食品栄養科に入り、管理栄養士の資格を取得して入社しました。それからずっと品質保証の仕事に携わってきたので、食の安心・安全に視野が集中しすぎていたところがあったのかもしれません。営業の現場では、得意先である小売業が第一といった考えがあることを知り、私たち品質保証部が食品安全の砦となるべき理由を改めて考えるきっかけになりました。同時に、品質保証部としての考え方や姿勢を理解してもらうため、「決まりなのでこうしてください」ではなく、目的や意味を理解してもらった上で業務を進める手順を説明する、相手の意見を聞き、疑問点は丁寧に解消する、ということを心がけるようになりました。また反対に、営業の目線を含んだ指導や意見をいただいたことで、新たな方向性を見出していくことができ、実際に新しい取り組みの始動に繋がっています。
その後、新入社員のOJT担当を任されることになるのですが、上司や営業部署とのやり取りで得たコミュニケーションの工夫は大いに役立ちました。

工場点検は部署のメンバーで手分けし、北海道から九州まで全国を回っています。私自身も年平均で月2か所、多いときは月に5〜6か所ほど各地の工場を訪れています。当社が扱う商品はクッキーやアイスクリーム、唐揚げ、ピラフなど幅広く、商品ごと、会社ごとに製造工程やこだわりは全く異なっています。サクッとしていたり、なめらかだったり、絶妙な甘さだったりと、おいしい商品をつくるためにこんな工夫をしているのかと感心することが多々あり、おいしいものを当たり前に食べられることが、いかに幸せか、仕事を通じて強く実感しています。一方で衛生管理が十分でない現場も未だあり、安全面の意識向上に向けて取り組む使命感も感じています。食の安心・安全を守り高める活動は業界で一体となって進めるべきものだと考えているため、数多くの工場点検で得た知見も出し惜しみせず、改善が必要な点を工場に適切に伝えています。5年後、10年後、当社がお届けするあらゆる商品を、今よりもっと安全で安心なものにしたい。そのために日々、地道に品質保証の取り組みを続けています。